みみ・はな・のど・ことばの病気チーム
メンバー
大石直樹 (医師、耳鼻咽喉科准教授):耳科(小児真珠腫など) 小児難聴
細谷誠 (医師、耳鼻咽喉科講師):耳科 小児難聴
松永達雄 (非常勤医師、東京医療センター部長、臨床遺伝専門医):遺伝性難聴
富里周太 (医師、耳鼻咽喉科助教):音声言語 吃音
浅野和海 (言語聴覚士):言語 小児難聴
森隆範 (言語聴覚士):言語 小児難聴
片岡ちなつ(臨床心理士、公認心理士):機能性難聴 言語
君塚友美 (臨床心理士、公認心理士):機能性難聴 言語
堀 明美 (臨床検査技師):精密聴覚検査
関 枝美子(臨床検査技師):精密聴覚検査
1)「みみ・はな・のど・ことばの病気チーム」は主に以下の疾患を専門的に治療しています。
・耳の病気
先天性難聴
当院は、新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関に指定されていて、難聴が疑われるお子さんの精密聴力検査を行っています。また、遺伝専門医の資格をもつ1名の耳鼻咽喉科専門医が月に1回、遺伝難聴専門外来を行い、先天性難聴の原因の半分以上を占める遺伝性難聴を診断するための遺伝子検査が可能な体制をとっています。
また、当院でお生まれになった新生児に聴覚スクリーニングとしてAABR検査を行っています。ただし、他院で産まれたお子さんに対する聴覚スクリーニングは外来では行っておりませんので、ご了解ください。(他院で産まれ、聴覚スクリーニングも行われた結果、難聴が疑われているお子さんに対する精密検査は行っております。)
実際に難聴と診断された場合には、難聴の程度に応じて補聴器・人工内耳の適応となる場合がありますが、補聴器装用は他施設(各地のことばの教室や療育センターなど)と協力して、当科では定期的な聴力評価や耳の診察などを行っています。
難治性滲出性中耳炎
投薬などの保存的治療で改善しない難治性の滲出性中耳炎に対して、2泊3日の入院の上、全身麻酔下に鼓膜チューブ留置術を数多く行っています。(日帰り全身麻酔は行っておりません。)耳鼻咽喉科開業施設からの紹介も多く受けています。今までの治療経過、その他の合併症、年齢、聴力などに応じて、長く留置するタイプ・短期間留置するタイプの鼓膜チューブを使い分けて留置しています。チューブ留置後は、3カ月に1回程度の定期的な診察を行っています。
先天性真珠腫
真珠腫は多くの場合に全身麻酔下の手術(鼓室形成術)が必要な疾患ですが、先天性に真珠腫が鼓室内(鼓膜の奥)に存在する場合があり、多くは開業医院にて鼓膜の診察を受けた際に気がつかれます。それら開業医院より当院は紹介を数多く受け、安全性・根治性に配慮した手術を積極的に行っています。
慢性中耳炎
耳だれを繰り返す場合や、鼓膜チューブの留置が長期間にわたる場合には、鼓膜に慢性的な穿孔が残ることがあります。大きい穿孔は難聴の原因にもなり、またプールに自由に入ることができないなどの生活上の制限の原因になることもあり、その場合には鼓膜穿孔を閉鎖する鼓室形成手術(あるいは鼓膜形成手術)を行います。当教室は、年間の鼓室形成手術の症例数がとても多く、数多くの紹介を受け、積極的に治療を行っています。
機能性難聴
特に学童期の女児に好発します。「脳まで音の情報が届いているはずなのに、自覚的に聞こえづらい」と感じる状態で、明らかな原因はわかっていませんが、環境ストレスなどの関与が大きいとされています。当教室ではまず聴覚精密検査を行い、機能性難聴の診断を確定させた後、必要に応じて当科専属の心理療法士による面接・カウンセリングなどを受けていただく体制が整っています。
・睡眠(呼吸)の障害
小児睡眠時無呼吸症候群
お子さんのいびき、睡眠時の呼吸が止まる症状(無呼吸)は、睡眠時無呼吸症候群と診断される場合があります。小児睡眠時無呼吸症候群のおよそ9割には、鼻の奥にあるアデノイドの腫大、口の奥にある口蓋扁桃の肥大が関与しているため、耳鼻咽喉科医による診察が必須です。当教室では、在宅での睡眠検査を積極的に行い、ある程度以上の睡眠時無呼吸が認められたお子さんに対しては、所見に応じてアデノイド切除・口蓋扁桃切除術を行っています。近隣の医院からの紹介も多く、年間数多くの手術実績があります。また、アレルギー性鼻炎により、鼻呼吸障害から睡眠時無呼吸が増悪する場合があり、鼻の治療も重要と考え治療を行っています。
・言葉の障害
言語発達遅滞
さまざまな原因により、言葉の発達が遅れることがあります。言語発達遅滞が疑われる場合、当教室では耳鼻咽喉科医による耳・鼻・のどの診察、専属の言語聴覚士による言葉の評価を行っています。実際に言語発達遅滞が認められた場合には、主に言語療法士により定期的に診察、訓練などを行っています。
吃音
吃音(きつおん)とは、言葉をどもることです。はじめの音を繰り返したり、言葉につまったりします。吃音のあるお子さんに対する診療を2020年10月から開始しました。発症早期の幼児については単に「様子を見る」のではなくて、どういった点に注意しながら生活するかをご説明いたします。また小学生については、安心して話せる環境を作ることを目標に、ことばの教室とも連携して支援いたします。中学生以上の方については、吃音に伴う不安も含めて、認知行動療法的なアプローチを用いて支援します。