生まれつきの病気(奇形)チーム
メンバー
小崎健次郎(医学部臨床遺伝学センター教授・センター長)
大学病院に入院するこどもの半数は、先天異常を背景に持っています。先天異常は、心臓・脳・胃腸・手足など様々な場所におこり、これらの臓器に影響を与えます。場所に応じて、さまざまな専門(サブスペシャルティ)を持つ小児科医師や、外科系医師が診療に当たっています。こどもによっては、1箇所だけではなく、複数の場所に先天異常を持っています。周産期・小児医療センターでは、それぞれの医師が専門性を発揮していますが、同時に力を合わせて診療にあたっています。
複数の場所に先天異常を持っている場合、遺伝子や染色体の異常が背景にあることがあります。病名や原因に応じて定期的にチェックすべきポイントがありますので、正しい診断が望まれます。臨床遺伝学センターでは遺伝子診断を通じて正確な診断を支援します。倫理的問題について十分に配慮した上で、必要のある場合に遺伝子検査を行っています。 公的研究助成を受けた遺伝子解析研究、先進医療として認可された遺伝学的検査(自費)、検査会社が提供する遺伝学的検査(一部のみ保険適応)などを提供しています。
遺伝性疾患についての一般向けの書籍はほとんどありませんので、これまでは患者や家族がご自分たちで遺伝性疾患について情報を得る方法は限られておりました。インターネットの普及により、遺伝現象に関する一般的な事柄や、各疾患について様々な情報を各種のホームページから得ることができるようになりました。しかし、インターネット上の情報のみを通じて遺伝性疾患について正しく理解することは困難であると考えます。一般の方・研究者など様々な立場の方が情報を発信しておられますが、診療の現場から見た場合には、患者さんに誤解を与えるのでは心配になる内容も少なくありません。
さらに重要な問題として、同じ遺伝形式(優性遺伝・劣性遺伝など)の遺伝性疾患であっても、家系内における患者さんとの血縁関係に応じて、ご自身やお子さんが遺伝病にかかる可能性は大きく異なります。「遺伝病」といっても必ず親から遺伝したとは限りませんし、お子さんに遺伝するとも限りません。むしろ、遺伝しない場合も多いのです。しかし、この点について十分な説明をしているホームページは少ないように見受けられます。「遺伝病」「先天性の病気」「染色体異常症」などについて詳しい相談・説明を希望される患者さんや配偶者、親兄弟など、お気軽に受診いただければと思います。